2018年9月20日(木)


Salesforceビジネスが成長の柱
それを支えるTrailblazerたち

 
 お客様のビジネスを支援し、成功へ導く――セールスフォース・ドットコムが長年掲げてきた最大の目標です。とはいえそれは、目標を共有するパートナー企業との協力、連携によってはじめて達成できるもの。お客様と直に接し、Salesforceのインプリメンテーションや運用・保守といった重要な役割を担う、優秀なパートナーの存在あってのSalesforceビジネスなのです。
 株式会社ランドコンピュータ(東京都港区)は、当社にとって、まさにそうした頼れるパートナーの1社です。1971年設立の同社は、システムインテグレーションやインフラソリューションなどの分野で培った高い技術力と豊富な実績を背景に、2010年にSalesforceビジネスを担当する部門を立ち上げました。その後積み重ねてきたSalesforce導入実績は300社超、プロジェクト実績は1500件超! 現在、従業員約500名のうちSalesforce認定資格保持者は66名(延べ人数)にのぼり、当社にとっても大変うれしいことですが、Salesforceビジネスは同社にとって成長分野の柱となっています。
 Salesforce事業部の櫻井友樹氏と砂田美耶氏は、同社におけるそんなSalesforceビジネスの発展を支えてきた、まさしく「Trailblazer(先駆者)」と呼ぶにふさわしい人材です。櫻井氏はプロジェクトマネージャーとして、砂田氏は品質管理者として、それぞれの業務において日々どんな努力と工夫を重ねているのか、お二人にお話を伺ってきました。


 
プロジェクト成功のカギは
「実際に画面を見て触ってもらうこと」

 
「やっぱり、すんなりとうまくいったプロジェクトより、最初なんらかの問題があって、最終的にうまくいったプロジェクトのほうが印象深いですよね(笑)」
 これまでの奮闘を笑顔でそう振り返る櫻井氏は、Salesforce事業部の立ち上げ直後から9年間、同社のSalesforceビジネスの最前線で活躍してきました。そんなプロジェクトマネジメントのエキスパートが、プロジェクトの品質を高めるため、顧客対応においてもっとも重要だと感じていることとは?
「いかにお客様と意思疎通を図るか、その1点に尽きます。当然ながらお客様は、業務を改善したい、売上を伸ばしたいという一心でSalesforceを導入するわけですよね。ところがその一方で、『ではSalesforceを使って具体的になにをすればいいか』という問いに対しては、明確な答えをお持ちでない場合が結構多い。そのため、お客様とのコミュニケーションが不足すると、Salesforceを導入しても、目的や業務に合わなかったり、使い勝手が悪かったりして、結局利用が定着しなかった、というような事態が起きてしまいがちです」(櫻井氏)

 


株式会社ランドコンピュータ 櫻井氏


 顧客とのコミュニケーションが、プロジェクトの成否のカギになるというのは、おそらくパートナーの多くに共通する実感でしょう。ただ、そこが大事だと理解してはいても、実際にどうすべきかというのがなかなか……。
「難しいですよね。われわれプロジェクトマネージャーには、お客様の視点に立ってニーズをしっかりと把握すること、お客様ご自身の気づいていないニーズを引き出すことの2点が求められていますが、必ずしも時間をかけてヒアリングすればいいというわけではない。言葉だけのコミュニケーションだとどうしても限界がありますから。
その点、幸いにもSalesforceは、ベストプラクティスが豊富で、導入事例だけでなくお客様と同業界向けのテンプレートを見せるなど、提案のしやすいプラットフォームです。実際に画面を見て触ってもらうと、お客様から『こういうことをしたい』『こうすればいいね』という意見がどんどん出てくるようになる。それこそが成功の秘訣だと思いますね」(櫻井氏)


 
可視化にもとづく進捗管理と情報共有
部門横断的な実践が成果につながる

 
 もちろん、プロジェクトマネージャーがそうした顧客のニーズに合った的確な提案をするには、その裏づけとなる知識や技術力、経験が欠かせません。そこで、Salesforceのオンライン学習ツールTrailheadを活用したり、定期的に勉強会を開いてSalesforce認定資格を取得させたりして、チームとして底上げを図り、サービスの品質を担保しているということです。
 それと同様に、品質管理者である砂田氏とそのチームもまた、その専門分野でさまざまな業務改善に取り組んできました。


 


株式会社ランドコンピュータ 砂田氏

 
「Salesforceを使って案件ごとの進捗を可視化して、各案件の担当者だけでなく、プロジェクトリーダーやその上の役職の人でも把握できる環境を整えました。実は以前、そのあたりは非常に属人的で、社内SNSのChatterに投稿される週報も上長が確認するだけでした。当然、他の人にはプロジェクトの内情がわからないので、指示やアドバイスのしようがありませんでした。それが今では、2週間に1回の全体会議で、Salesforceのダッシュボードやレポートを見ながら『この案件は順調だけど、これは時間がかかりすぎだね』と皆できちんとチェックできるようになりました。
それから、個人的に嬉しいのは、社内で品質管理に関するメルマガが配信されていることですね。Salesforce事業部だけでなく、他事業部の部長などが、自身の経験をもとに『それまではこういう観点しかなかったけど、この問題を受けて、もっとこういうことに気をつけたほうがいいと学んだ』といったことを書いて配信されていて、これがすごく勉強になっています」(砂田氏)


 
プロジェクト登録数ナンバーワン!
“悪い評価”こそが業務改善の糧に

 
 可視化をベースとする進捗管理と情報共有、そしてそれらを部門横断的に行なうことで成果につなげる。品質管理の環境としては理想的ですが、それを実現するには、まずは誰かがSalesforceにデータを入力しなければなりません。砂田氏によると、現在はプロジェクトリーダーが、自分の抱えている案件の数だけ、決められた期日までにデータを登録しなければならなくて大変なので、仕組みの見直しを検討しているとのことです。
 もうひとつ、同社には特筆すべきことがあります。ご存じの通りセールスフォース・ドットコムは、パートナーの皆様に対して、お客様の満足度を調査する「プロジェクト登録」への協力をお願いしています。そして、実はランドコンピュータは、2018年6月から8月までで、その登録数がもっとも多かったパートナーなのです! ただ、こちらからお願いしておいて言いにくいのですが、正直その……、少し手間がかかりませんか?
「そうですね(笑)。これについても属人化している面があって、今は主に営業が登録を行なっているのですが、当然、作業負荷はそれなりにかかっています。今後については、プロジェクトの担当者が検収後も引き続きプロジェクト登録をする、といった内部的な手続きの見直しが必要だと考えています。
ただ、ある程度コストがかかっても続けているのは、それを上回るメリットがあると実感しているからです。実は当社には以前、いわゆる優良顧客に対してだけ満足度を調査していた時期がありました。それだと当社の悪いところは見えてこなくて、サービスの改善につなげられませんよね。プロジェクト登録を始めたことによって、良い評価から悪い評価まで幅広く届くようになって、今まで見えてこなかった問題点が浮き彫りになってきました。今後は、それらを活用していかに改善に結びつけるかを考えていけばいい。サービスの品質が向上して、お客様にさらに満足していただけるようになればWin-Winですから」(砂田氏)



Salesforce事業で感じた自身の成長
目指すは『あのSalesforceね』という世界の実現

 
 そのように、日々全力で業務に取り組んできた両氏ですが、Salesforceビジネスに携わってきたことについて、自身ではどうとらえているのでしょうか?
「9年前、今の上司から声をかけられたとき、Salesforceに関しては未経験で不安もありましたが、『やりたい』と手を挙げて本当によかったと思っています。当初は経験やノウハウの少ない中、目の前の仕事をこなすのに精一杯でしたが、その分、若いうちからお客様とのコミュニケーションやプロジェクトのマネジメントの仕方を学べましたし、Salesforceの最先端の技術や世の中のトレンドを身につけながら、すごく成長してこられたと感じています。キャリアアップについても順調ですから、この先は事業部長や役員を目指し、Salesforce事業の拡大により寄与していきたいですね」(櫻井氏)
 続いて砂田氏からも、こんな頼もしい言葉が。
「私は新卒入社でそのままSalesforce事業部に配属されて、『Salesforceってなに?』というところから始まりました。当社は勤怠管理にチームスピリットを使っているので、『Salesforceって打刻するためのシステムなのかな』みたいな(笑)。その後、幅広い業界のお客様との関わりが刺激になって成長でき、とても楽しかったというのが正直なところです。
ただ、今はまだ、お客様から『Salesforceってなに?』とご質問いただいたときに、うまく説明することができなくて。ですから、漠然とした目標ですが、『ああ、SalesforceってあのSalesforceね』とお客様におっしゃっていただけるような世の中にしたい、それに少しでも貢献したい。今はそう思っています」(砂田氏)
 
 

 
櫻井友樹氏 ビジネスイノベーション事業本部 Salesforce事業部 第二課 課長 (写真右)
「Salesforce導入に際しては、『いつまでにこれをしてください』というお客様側のタスクがどうしても発生します。ですから、プロジェクトをスケジュール通りに進めて成功させるには、“お願いして終わり”ではなく、こちら側がお客様を強く、細かくリードしていくことが大切ですね」


 砂田美耶氏 ビジネスイノベーション事業本部 Salesforce事業部 第一課 (写真左)
「品質管理においては、お客様からの悪い評価も真摯に受け止めて、どう改善していくかが大事。『今後このようなことが起きないよう気をつけましょう』と活かすためのエビデンスとして、すべてのお客様にアンケートをお願いするプロジェクト登録を行なっています」