2018年7月13日(金)

顧客の課題解決ツールとして
Salesforceを積極的に採用



 世界に冠たるコンサルティング企業として120か国以上で顧客を獲得し、米ビジネス誌「フォーチュン」にて16年連続で「世界で最も称賛される企業」に選出されているアクセンチュア。その日本法人として1995年に設立されたアクセンチュア株式会社(東京都港区)もまた、約9500名の従業員を抱える、国内における業界のリーディングカンパニーとして広く認知されている。
 コンサルティング企業としての同社の特長は、抜きん出た総合力の高さにある。「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」という5つの領域における豊富な経験とソリューションを有し、顧客の課題や業務の変革内容にあわせた最適なサービスをワンストップで提供できるのが最大の強みだ。
 その中で同社の通信・メディア・ハイテク本部では、その名の示す通り、通信、メディア・エンターテイメント、ハイテク製造業界の企業を主な顧客として、深い知見と優れた技術を持つスペシャリストが幅広い支援を行なっている。
 そして、特筆すべきは、マーケティングから営業、コールセンターまで、顧客の広範な業務におけるさまざまな課題の解決手段として、Salesforceを積極的に採用し、大きな成果を上げている点だ。アクセンチュアは2004年にセールスフォース・ドットコムのアライアンス・パートナーとなって以降、グローバルで1200件以上の顧客に対してSalesforceの導入を成功させてきた実績を誇る。同本部シニア・プリンシパルの太田和良氏はいう。
「一般にコンサルティング会社というと、顧客企業の経営戦略を練るのが中心とイメージされがちですし、実際、かつては弊社もそうでした。しかし近年は、戦略だけでなく、営業やマーケティングの実行までお客様のビジネスを支援する、“総合変革商社”のような形へ変貌しています」(太田氏)

              

                     アクセンチュア株式会社、太田氏


そうした流れの中で、同本部にとってSalesforceは、顧客の課題を解決し、ビジネスを変革するために欠かせないツールとなっているのだ。
 

「どんなシステムを作るか」ではなく
「それでビジネスをどう変えるか」が肝要
 

 そのことを端的に示しているのが、ある大手企業に対して同本部が実施した全体CRM改革の事例だろう。
「このお客様は、CRMの領域に問題を抱えていました。それで、当初はお客様の社内でスクラッチのCRMを構築しようとしていたのですが、なかなか満足のいくものができず、非常に長い時間を要されていました。もともとこの取り組みは、お客様の事業変換に伴い顧客接点管理・営業管理を変革することが目的で、スピード感をもって成果を出すことが必要でした。弊社としては、お客様のリソースをシステム要件の検討に割いていただくより、システムを使ってビジネスをいかに変えていくか、得られたデータにもとづいてどんな経営戦略を立てるかといった、よりビジネスの成果に直結する部分にこそ力を注いで欲しい、という思いがありました。
 Salesforceは、ベストプラクティスが豊富で、弊社としても十分に導入実績のあるソリューションです。また、汎用性と拡張性が高く、標準にない機能についても、“エコシステム”と呼ばれる優秀なパートナー企業の力を借りて開発・実装できます。システム構築に時間を取られ、なかなか完遂できないというお客様の状況を打開するのに最適なソリューションと考えました」(太田氏)
 
 
 
最短かつ確実に課題を解決できるツールとしてSalesforceを提案したときの顧客の反応について、同本部シニア・プリンシパルの八木伸一郎氏はこう振り返る。
「クライアントにとっては新たなチャレンジだったと思います。当時の喫緊の課題は直販の営業管理(SFA)の領域でしたが、いずれカスタマーサポートやマーケティングといった領域を含めたCRM全体をオペレーティングモデルとして統合したいというビジョンをお持ちだったので、そうなった時、SalesforceならService CloudやPardotといった既存のソリューションと容易に連携できます。であれば、テクノロジー周りについてはセールスフォース・ドットコムのソリューションに任せて、お客様ご自身はビジネスそのものの変革と成果を上げることに専念したほうがいいのでは、と提案しました」(八木氏)


                                                                

                          アクセンチュア株式会社、八木氏


経営コンサルと顧客にとって
計り知れないSalesforceの価値

 
「システムを導入するのは、ビジネスを変革するための重要な手段の一つです。しかし、言い換えれば、システムが導入されていることが価値を生むわけではない。生活にたとえるなら“水道”のような、ビジネスのライフラインです。そこがしっかりしていてはじめて、ビジネスの改善や改革を円滑に進められる。水道の整備に時間と労力を割くのではなく、ビジネス変革に向けた作戦建てと実行に時間を使うのが正しい姿です。
そうしたとき、Salesforceのような、圧倒的な機能と実績のあるソリューションは非常に強力にサポートしてくれると実感しています。
お客様との議論が、『どのような要件が必要か』ではなく『もう機能は準備されている。これを使ってビジネスをどう変えていくか』と自然と変わっていくのです」(太田氏)
 実際、先述の大手企業のケースでは、当初の計画より2か月早い半年間でSales Cloudの導入を完了し、2017年秋に稼働を開始。狙い通り、顧客はビジネスのコア部分の改革に専念できるようになり、徐々に成果が出始めている。さらに、Service CloudとPardotも導入し、カスタマーサポートとマーケティングの改善にも着手したという。

                                                 

                            アクセンチュア株式会社、八木氏(左) 太田氏(右)

Salesforceとのコラボレーションが
今後のコンサル業界のトレンドに

 
「エンド・トゥ・エンドのCRM改革は非常に難しいものです。そのような中、今回のようにSalesforceをワンプラットフォームとして活用する形はひとつの雛形となると思っています。」(太田氏)
 アクセンチュアには、他社の追随を許さない総合力と、長年セールスフォース・ドットコムのパートナーとして積み重ねてきた実績がある。このケースが成功を収めつつある最大の要因がそこにあることは確かだ。ただ、八木氏は、顧客の経営戦略から改革の実行までをトータルで支援するコンサルティング企業であれば、顧客のニーズに応えるソリューションとしてSalesforceは有力な選択肢であるはずだ、と指摘する。
「Salesforceは、ツール単体として優れているのはもちろんですが、セールスフォース・ドットコム本社やパートナー企業と協力してお客様の課題に取り組めるのも大きな強みです。ITを扱うコンサルティング会社なら、“エコシステム”を活用して成果を上げられるでしょう」(八木氏)
 今後、コンサルティング企業とセールスフォース・ドットコムのコラボレーションが、ひとつのトレンドとなるのではないだろうか。



太田和良氏 通信・メディア・ハイテク本部 シニア・プリンシパル
「システム構築より、ビジネスのコアの部分でお客様に時間を使っていただきたい。ベストプラクティスの豊富なSalesforceは、CRM領域においてベストな選択です」


八木伸一郎氏 通信・メディア・ハイテク本部 シニア・プリンシパル
「“モノ売りからコト売りへ”というビジネス変革の流れの中で、Salesforceのようなテクノロジーでサポートする領域を増やさなければならない、と考えているお客様が増えていると感じます」